KNOWLEDGE

#02

しつらい

SHITSURAI

「茶道におけるしつらいとは、空間を作ることです。空間をしつらえるのは、亭主の役割。亭主は、その日お迎えする方のお顔を思い浮かべながら、掃除をしてお庭を整え、炭を入れて釜を掛け、床の間にお軸を掛けて……と、ひとつひとつ心を込めて準備をします。そして、物語を作り上げながら茶室を演出していきます。お客様によっても、亭主によっても、全く違ったものになります。お客様がしつらいを楽しむポイントとしては、亭主の考えた道具の組み合わせ、しつらいのすべてに「トラップが仕掛けられている」という気分で臨んでいただくことかもしれません。この掛け軸には、この茶碗には、いったいどういう意味があるんだろう、と受け取る心を持ってみてください。茶室のしつらいには、見どころがいくつかあります。まず、空間を決めているのが「床の間」です。掛け軸と、花入が見どころです。次に亭主の座っている「点前座」には、釜、炉縁、水指、棗、茶碗、茶杓とたくさんの道具があります。それらの形、道具の作者や来歴、銘(名前)などにも、亭主がこめた物語を読み解くヒントが仕掛けられています。また、お茶の世界には、大きく分けて、2つのスタイルがあります。暖かい季節になると、しつらいにおいても炉が風炉というスタイルに変わり、平茶碗を使うなど、暑さをしのぐために様々な工夫をします。初めての茶会は、とかく緊張の連続だと思いますが、ぜひ、床の間など、茶室の空間にも目を向けてお楽しみいただければと思います。」

三窪 笑り子

Eriko Mikubo

Tea Knot 代表。1992年 大阪府堺市出身。幼少より茶道を始める。 学校法人裏千家学園茶道専門学校 卒業。さかい利晶の杜立ち上げに参加、茶の湯関連の責任者を務める。2017年より独立 学校法人光華女子学園 非常勤講師として2年間茶道の授業を担当。同年に京都市北区 陶々舎にて茶道教室を開く。 2020年 Tea Knotを創業。 第8回上賀茂アートプロジェクト 席主、公益財団法人 有斐斎弘道館 十周年記念月釜亭主、イギリスの語学学校にて茶道ワークショップ、茶道資料館副館長との共同茶会 など。

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